EVユーザーインタビュー

電気自動車
ある暮らし

【ユーザーインタビュー】電気自動車のある暮らし vol.2

電気自動車は高いって本当?

いくらで買えるの? 維持費はどのくらい? 補助金や減税があるってホント? そんな電気自動車のコストに関する疑問にまるっとお答えします!

乗り心地が快適で、環境にも優しいなど魅力満載の電気自動車ですが、やっぱり気になるのはお金のこと。

一体、いくらで買えるの?維持費はどのくらい?

前回に引き続き、EVsmartを運営するアユダンテ株式会社の代表取締役、安川洋のインタビューをお届けします。 「電気自動車はお金がかかるからウチはムリ!」と思っている人は必見ですよ。

聞き手:上島寿子

写真:電気自動車の電費や維持費の安さを熱く語る安川
EVsmartを運営するアユダンテ株式会社の代表取締役、安川洋。電気自動車の電費や維持費の安さを熱く熱く語っているところです。

補助金と減税制度でお得に買える

ーー 前回、安川さんのお話を聞いてから電気自動車に興味津々なのですが、引っかかるのはコストの部分。電気自動車は高くて手が出せない気がして。

  • 安川

    確かに、車自体の価格は決して安くはないですね。例えば、日産のリーフの場合、最新モデルは約330万円から。世界で最も売れているテスラになると500万円を超えてしまいます。

ーー やはりそうでしたか……(がっくり)。

  • 安川

    でも、諦めることはないですよ。電気自動車は補助金制度が充実しているんです。国の補助金としては「クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金」があります。金額は車種で異なり、たとえば、テスラや日産のリーフであれば最大40万円(※2019年度の場合)の補助金が交付されるんですよ。

ーー 40万円も!それはありがたいです。

  • 安川

    手続きは、車を購入後に所定の書類を提出するだけとカンタン。購入を検討している車にいくらの補助金がつくかは、「次世代自動車振興センター」のホームページで調べられます。

ーー へぇ、同じリーフでも交付額はまちまちなんですね(←早速、調査中)

  • 安川

    しかも、都道府県でも同じように補助金制度を設けているケースがあって、該当すればダブルで補助金を受け取れるんです。これも「次世代自動車振興センター」のサイトでわかりますよ。たとえば、東京都の場合、補助金は個人で最大30万円ですから…..。

ーー 合算すれば、最大70万円!予算オーバーも挽回できそう。

  • 安川

    でも、それだけじゃないんです。

ーー まだあるんですか?

  • 安川

    電気自動車はエコカー減税によって、税金が優遇されるというメリットもあるんです。このエコカー減税は排出ガス基準に応じてガソリン車にも適用されますが、電気自動車は減税率が大きいんです。

ーー どのくらい?

  • 安川

    まず重量税は全額免除。自動車取得税が廃止された代わりに2019年10月から導入された環境性能割についても、電気自動車は100%免税なんです。

ーー つまり、電気自動車なら取得時の税金がまったくかからないということなんですね。

  • 安川

    購入した時点から毎年発生する自動車税も、新車登録した翌年度に限り75%減額されます。この自動車税の税率は排気量で決められ、排気量0㏄の電気自動車は年間2万5000円とそもそも安い。それが75%軽減されるので、6250円で済むわけです。

ーー 6250円!それは安い!

  • 安川

    ちなみに、東京都と愛知県は翌年度だけでなく5年度分の自動車税が全額免除されます。ご自分が住む自治体の税制もチェックしてみるといいでしょう。

ーー 太っ腹な自治体があるんですね。

充電にはいくらかかる?

ーー あと、電気自動車の場合、充電設備の設置にもお金がかかるのでは?

  • 安川

    100V電圧で充電できるプリウスPHVやテスラの車であれば、家のコンセントでも安全に充電できる仕組みを持っていますので、コンセントに充電ケーブルのプラグを挿すだけで大丈夫ですよ。ただし、基本的には、専用の配線・ブレーカー・防滴ケースやコンセントなどの設置が必要です。工事費用は業者さんにもよりますが、だいたい10万円ぐらいが目安です。ほぼすべてのご家庭には200Vの電気が来ていますので、一戸建ての住宅の場合は比較的簡単な工事で済みます。

電気自動車をプライベートで使っているEVsmartユーザー323人に聞きました
充電コンセントの設置にかかった費用は?

2万円未満:44人、2〜5万円:128人、5〜10万円:92人、10万円以上:36人、分からない:23人
10万円以下だった方が9割以上、半数は5万円以下だったとの回答が!

ーー 次に気になるのは燃費・電費です。ズバリ、ガソリン車と電気自動車ではどちらがお得ですか?

  • 安川

    結論から言えば、断然、電気自動車ですね。これについては以前、試算をしたことがあるんですが、ガソリンのレギュラーの価格を100円/ℓで計算しても、自宅充電にかかる電気代のほうが安いという結果になりました。地域によっては夜間電力を使うなど工夫をすればガソリン代の半分以下にすることもできます。

ーー 今のレギュラーガソリンの相場は140円前後だから、さらに差がつくってことですか?

  • 安川

    そうなんです。しかも、ガソリンの値動きって激しいですよね。政治的な理由や油田火災といったアクシデントなどで、たちまち高騰してしまう。その点、電気の価格は平均しているので安心なんです。

ーー 毎日乗る人にとっては特に、見逃せないポイントですよね。

EVsmartユーザー619人に聞きました
電気自動車に乗る前のガソリン代は月額でいくら?

5000円未満:68人、5000〜1万円未満:246人、1〜2万円未満:201人、2〜3万円未満:51人、3万円以上:36人、覚えていない:18人
5000円〜10000円未満だった方が4割で最多でした。

自宅に充電用コンセントを設置したEVsmartユーザー351人に聞きました
自宅充電をはじめて電気代は毎月いくら増えた?

1000円未満:75人、1000〜2000円未満:63人、2000〜3000円未満:125人、3000〜4000円未満:18人、4000〜5000円未満:11人、5000円以上:12人、分からない:47人
7割の方が3000円未満で済んでいるようです。

ーー ユーザーには公共の充電スポットを日常的に利用する人も多いようですが、そうすると高くつかないですか。

  • 安川

    公共の充電スポットは基本的に有料ですが、無料のところも案外あるんです。数台置かれているうちの1台だけがなぜか無料というケースもあったり。もっとも、有料の充電スポットを頻繁に利用する場合でも、ガソリン代より高くなることはまずないと思いますね。

ーー それなら安心ですね。

  • 安川

    ちなみに、テスラの場合、全国20ヵ所以上にスーパーチャージャー(SC)と呼ばれる充電スポットがあり、充電スピード60 kW以下の場合は20円/分、61 kW以上の場合は40円/分で利用できます。

電気自動車を仕事で使っているEVsmartユーザー145人に聞きました
会社、あるいは自宅に、充電用のコンセントを設置しましたか?

元々設備があった:65人(44.8%)、設置工事をした:65人(44.8%)、設置していない:15人(10.3%)
仕事で使う方は、9割近くがコンセントを設置しているようです。

電気自動車をプライベートで使っているEVsmartユーザー475人に聞きました
自宅に、充電用のコンセントを設置しましたか?

元々設備があった:28人(5.9%)、設置工事をした:323人(68%)、設置していない:124人(26.1%)
プライベートで使う方でも、7割以上がコンセントを設置している、という結果に!

整備費用はガソリン車より有利

ーー もう1つ、気になっているのはメンテナンス費です。電気自動車はハイテクな車だから整備費用が高くつきそう。

  • 安川

    いえいえ、むしろ逆。メンテナンス費でも電気自動車のほうが圧倒的に有利です。ガソンリ車の場合、エンジンのオイル交換が必要ですよね。費用はざっと見積もって、小型車で年間1万円程度、大型乗用車や外国車では年間2万円〜4万円くらい。対して、電気自動車はエンジンがないので、その費用はゼロなんです。

ーー オイル交換は結構、面倒ですが、その手間も省けるんですね。

  • 安川

    それ以外にも車検ごとにラジエーターのクーラント、5万kmを超えるとエアクリーナー、Vベルト、タイミングベルトなどの交換が必要となりますが、電気自動車はそれらの費用も発生しません。

ーー エンジンがないことで、整備費用がかなり安く済むんですね。

  • 安川

    あと、ガソリン車の場合、走行距離4万kmぐらいでブレーキパッドの交換が必要になりますが、電気自動車はそれも省けます。

ーー でも、ブレーキを踏む回数はガソリン車と変わらないのでは?

  • 安川

    電気自動車の場合、アクセルと離すと回生ブレーキが作動して減速するので、フットブレーキを多用せずに走行できるんです。ガソリン車もエンジンブレーキがかかりますが、効きが違うんです。私が乗っていたテスラモデルSは新車時でブレーキパッドは10mmの厚さがあるのですが、2万9000kmを走破した後に調べてみたら残りは9mmでした。つまり、1mmしか減っていなかったんですね。このペースだと10万kmはラクに持つでしょう。

ーー まさにいいこと尽くしですね。ますます電気自動車に興味がわいてきましたが、最後に電気自動車を買う場合の注意点を教えてください。

  • 安川

    先ほども話に出ましたが、充電は自宅など車を常時置いておく場所でできたほうが快適に乗りこなせます。特に忙しい人は自宅充電がマストでしょう。毎回、充電スタンドに行って充電するのは、手間も時間もかかりますから。

ーー ガソリンスタンドに行くのと、同じことになってしまいますもんね。

  • 安川

    それと長距離を走るようなときは、休憩や食事、観光の合間などの「ついで充電」を心がけること。電池が空になりそうになってから慌てて充電すると30分~1時間前後かかって時間のロスになりますし、バッテリーの劣化を早めてしまうこともあるんです。

ーー 電気自動車をスマートに乗りこなすにはコツがあるんですね。でも、それぐらいなら実践できそう。遠い存在だった電気自動車が、グーンと身近になってきました。憧れのEVライフ、はじめてみたい〜!

EVsmartユーザー619人に聞きました
次に買い換えるならどんな車にしたい?

純電気自動車(ガソリンを全く使わないタイプ):459人(74%)、プラグインハイブリッド車(ガソリンも使うタイプ):131人(21.1%)、ガソリン車:28人(10.3%)、その他:2人(0.2%)
次も電気自動車を希望する人は7割超!
その他の内訳は、まだ先のことなので分からない:1人/両方によいところがあるので両方持ちます:1人 でした。

まとめ

電気自動車がはるか彼方の高嶺の花だったのはひと昔前の話。今は買いやすい価格の車も増えてきています。しかも、補助金制度や税金の優遇といったメリットがあり、ランニングコストの点でもガソリン車よりお得。もし車の購入を考えているなら、検討してみる価値は大いにありそうです。では、実際、電気自動車があるとどのような生活が送れるのでしょうか。次回は、自動運転についてご紹介します。

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