【ユーザーインタビュー】電気自動車のある暮らし vol.6
高速道路も雪道もスイスイ。一家3台の電気自動車ライフ
家族みんなにEVを広めたリーフオーナーさんが語る、電気自動車の魅力とは。
「電気自動車は一度乗ったらやめらない」とはよく聞く話。ガソリン車とはまた違うカーライフが広がると言われています。
その魅力にハマってしまったのがオーナー歴3年のAさんです。ご自身で電気自動車に乗るばかりか、郷里のご家族も電気自動車に乗り換え、所有台数はなんと一家で3台!どんなところが夢中にさせるのか、じっくりお話を伺ってきました。
聞き手:上島寿子
撮影:杉田賢治
もくじ
東京モーターショーで
日産リーフにひと目惚れ
はじめまして。お時間をいただきありがとうございます。
-
Aさん
わざわざ山梨まで来ていただいてすみません。
いえいえ。Aさんはここ、山梨にお住まいなのですか?
Aさん
本当は東京で一人暮らしをしているんですが、会社がリモートワークになり出勤する必要がないので実家に戻ってきているんです。
いつぐらいからですか?
Aさん
今年(2021年)の3月からずっとこっちです。コロナ禍が落ち着いて、また会社に通勤することになったら東京に戻りますが。
帰省は愛車の日産リーフと一緒ですよね?
Aさん
はい、リーフに乗って帰ってきました。
購入したのはいつ頃ですか?
Aさん
2018年1月です。ちょうど40kWhが出たときに買いました。
購入したきっかけを教えてもらえますか?
Aさん
興味を持ったのは10年以上前。大学生のときにたまたま東京モーターショーに行ったのがきっかけでした。
東京モーターショーにリーフが出展されていた?
Aさん
はい。展示されていたリーフを見て、「これが未来の車か」って先進性に感銘を受けたんです。
当時、電気自動車って夢の車でしたよね。
Aさん
もともと車にはそれほど興味はなかったんですが、なぜかリーフにはすごく興味が湧いて。そのときはまだ運転免許を持っていなくて、リーフに乗りたい一心ですぐ免許を取りにいきました。
リーフがドライブ心を触発したんですね。
Aさん
量産が始まったのがその翌年の2010年からで、リーフのタクシーを選んで乗ってみたり。レンタカーを借りて運転してみたり。
試乗してみたのですね。初めて運転したときはどんな感じでしたか?
Aさん
スムーズな走りは次元が違いましたね。まるで空飛ぶカーペットみたいで。音も静かで驚きました。
でも、すぐには買わなかった?
Aさん
大学生だったので僕は買えませんでしたが、郷里の両親が初代リーフを購入しました。親が通勤で使っている車がちょうど買い換えの時期だったので。
いいタイミングでしたね。
Aさん
帰省したときには親に車を借りて、よくドライブをしていました。初代リーフは今も現役なんですが、走行距離は15万kmを超えていますよ。
15万km!かなり走ってますね。それでますます気に入って、自分のリーフを買った?
Aさん
その前に妹がリーフに乗り始めました。親がリーフを買った3年後ですね。妹が乗っていた車の車検が切れるときに、ちょうど30kWhが出たので。
ということは、Aさんのリーフを併せると3台のリーフがある?
Aさん
はい、そうです。
まさに電気自動車ファミリーですね!
ご家族はもともと電気自動車に興味を持っていたんですか?
Aさん
いえ、僕が薦めました。うちの家族は電気自動車どころか、日本車にまるでアンテナが立っていなかったんです。
乗ってきたのは外国車が多かった?
Aさん
わが家の愛車遍歴はシトロエン、アルファロメオ、空冷式のフォルクスワーゲン、そして、今、父が乗っているのがランドローバーのディスカバリー。とにかくデザイン重視なんです。
かっこいいけれど、手がかかりそうな車ばかりですね(笑)。
Aさん
僕が小学生のとき、父はシトロエンに乗っていたんですが、峠でエンジンが動かなくなったことがありました。アクセルを踏んでも進まない。あのときは怖かったですね。どの車もほぼ修理に出ていました(笑)。
デザイン重視で外車に乗り続けてきたご家族の嗜好を、変えてしまうぐらい電気自動車は乗り心地がよかった?
Aさん
はい。とにかく乗り心地が極上で、その上壊れにくくて経済性にも優れているなど、後からじわじわと続く良さがあるんですよ。
充電設備のないアパート暮らしでも電気自動車ライフを満喫
その経済性について伺いたいのですが、3台もリーフを所有しているとのことなので、ご実家に充電設備がついていますよね?
Aさん
はい、一戸建てなので充電設備をつけています。その充電器で順番に3台分の充電をしている感じですね。
電気代もそれなりにかかるのでは?
Aさん
実家はリフォームするときにオール電化にしてエコキュートを設置しました。割安な夜間電力を使えることもあって、3台分を充電しても月額2000〜3000円ぐらいしか電気代はかかっていないと思います。
3台分でもそのぐらいしかかからないんですね。太陽光発電をつけたらもっと経済性が高まりそうですが。
Aさん
山梨は雨が少ないことで有名で、日照時間は日本で一番長いそうなんです。だから、太陽光発電をつけたいところなんですが、古い家なのでソーラーパネルを載せると躯体がもたないみたいで。
もったいないですね。
Aさん
でも、それまでのガソリン代に比べたらはるかに安いですよ。今、父が乗っているランドローバーは燃費が5km/ℓ。しかも、ハイオク車ですから。満タンで100ℓも入るので、怖くて満タンにできません(笑)
ベースのお住まいは東京の集合住宅ということですが、充電設備はないですよね?普段の充電はどうしていますか?
Aさん
家の裏にちょうど日産のディーラーがあって、主にそこで充電しています。混んでいたら車で15分ぐらいのところに別の日産ディーラーがあって、そこは急速充電が3基設置されているので、どちらかでは充電できますね。
日産のサポートプログラムには加入していますか?
Aさん
車を買ったときにZESP2の会員になったので、月額2000円で充電し放題です。その頃、「充電2年間無料」というCMをやっていて、充電設備がなくても安心だなと購入に踏み切れたのですが……。
現行のZESP3だと月額2000円では収まらないですよね。
Aさん
僕の場合、ZESP2の契約期間があと2年あるので、それまでに新しいサポートプログラムが出てくれないかなと期待しているのですが。
充電の頻度はどのくらいですか。
Aさん
リーフを買った最初の2年間は職場が埼玉県の郊外だったので、通勤車として使っていました。毎日、往復50km走っていたので、週1回は充電していました。暖房で電気の減りが早い冬は週1.5回ぐらいに増えましたが。
そのときもディーラーがメインですか?
Aさん
ほとんどディーラーですね。通勤の途中にスーパーが目の前にあるディーラーがあって、充電の合間に買い物をしたり。ディーラーにある充電器は出力が大きいので、そのほうがやはり便利です。
商業施設で入れることはあまりないですか?
Aさん
コンビニに寄ったときに充電設備があれば使うこともありますが、少し補充するぐらいの感覚ですね。イオンで買い物しているときに入れたこともありますが、急速充電だと30分で戻らないといけないのでゆっくり買い物できないし、逆に普通充電だと買い物の時間ではあんまり充電できないし。結局、ディーラーがメインになっていますね。
雪道に強い電気自動車だから
冬の行動範囲が広がった
休日に車で遊びに出かけるとき、充電はどうしていますか?
Aさん
泊まりで遊びに行くときは、充電設備のあるホテルを選ぶようにしています。普通充電が3台ぐらいあるところなら、繋ぎっぱなしでも問題ないですし。翌朝にはフル充電されているので便利ですね。
旅先ではホテル以外でも充電することもあると思いますが、どのように充電スタンドを探していますか。
Aさん
日産のアプリ「NissanConnect EV」をスマホに入れて使っています。ZESP2で使えるスタンドがわかるので。
空きがあるかもわかるんですよね。
日産以外に使っているアプリはありますか?
Aさん
EVsmartの検索アプリはかなり活用しています。便利ですよね。
ありがとうございます!どんなところが便利ですか?
Aさん
グーグルマップと連動しているので、充電スポットの位置だけでなく、近くにある施設を調べられるのがいいですね。隣にコンビニがあるから寄ろうとか、レストランがあるからここで食事も済ませようとか、計画が立てやすいんです。
旅行中は時間を有効に使いたいですもんね。
Aさん
フィルターをかけられるのも便利です。24時間営業のところだけピックアップできますし、充電器の出力別に調べることもでるので便利ですね。
使いこなしているんですね。
Aさん
縮尺によって表示される充電スポットが変わるのもいいですよね。たとえば、遠出するときに縮尺を小さくすると高速道路上の充電スポットが表示されて、逆に大きくするとディーラーなど細かいスポットが出てくる。あと、口コミで車を入れづらいといったことがわかるのもありがたいです。
電気自動車を買って生活は変わりましたか?
Aさん
遠出をするときは電車に乗らなくなりましたね。実家に帰るときも、以前は電車かバスでしたが、今はいつも車です。
車のほうがやはり便利ですか?
Aさん
帰りたいときに帰れるので助かりますね。自分の体力と気力さえあれば深夜でも帰省できますから。高速道路の料金も深夜なら割引がありますし、もちろん、電気自動車ならガソリン代も気にせずに済むから安上がりです。
気軽に帰省できるようになったんですね。
Aさん
金曜日の夜に東京を出て、日曜日の夜に実家から東京に戻ると丸々2日間、山梨にいることができます。
ご実家に戻ったときの足にも困らない?
Aさん
そうですね。ぶらっと友達に会いに行ったりとか。自分の車を買うまでは実家の車を使っていたので、家族とバッティングすることがよくありましたから。
旅行もほとんど車ですか?
Aさん
車で行くようになりましたね。青森の十和田湖や奥入瀬渓谷に紅葉見物に行ったり、九州の大分まで温泉に浸かりに行ったこともありますよ。
電気自動車でそんなに遠くまで。でも、途中で充電をするとなると、かなり時間がかかるのでは?
Aさん
そうでもないですよ。僕のリーフの場合、フル充電で3時間ぐらいは連続で走れるんです。3時間経つと腰が痛くなったりトイレ休憩したくなるので、休憩を挟むにはちょうどいいんです。ガソリン車でもそのぐらいのタイミングで休憩をしているはずですから。
Aさんのリーフは40kWhでしたよね。ということは、今のe+シリーズならもっと長く走れるわけですね。
Aさん
そうですね。逆に初代リーフは24kWhなのでほぼ各駅停車状態でしたが(笑)
山梨県でオススメのドライブスポットはありますか?
Aさん
早川町にある奈良田温泉はアルカリ性の強い泉質で、時間帯によって透明、グリーン、白濁と色が変わるんです。そこにはギネスブックに認定された世界最古の温泉旅館もあるんです。ただ、同じ山梨県でも静岡県のほうにぐるっと回っていかないとたどりつけない。まさに秘境ですね。
そんな場所が!
Aさん
ここから近いところでは増富温泉によく行っています。温泉がいいのはもちろん、そこに行くまでに通る林道の景色も素晴らしいんです。
へぇ、行ってみたいです。
Aさん
後でご案内しますね。
電気自動車って山道の走行はどうなのでしょうか。
Aさん
パワーはまったく問題ないですね。
ブレーキの効きも早いから運転しやすそう。
Aさん
ガゾリン車の場合、上り坂になるとエンジンを噴かす音がうるさいし、下り坂ではエンジンブレーキの音も気になりますよね。その点、電気自動車は上りも下りもすごく静か。窓を全開にして走ると最高に気持ちいいですね。
まさしく電気自動車のメリットですね。
Aさん
あと、電気自動車は雪道に強くて安定性があるんです。これも大きなポイントですね。
山梨って冬は雪が積もるんでしたっけ?
Aさん
いえ、ほとんど雪は降らないですね。
じゃあ、雪道を走るのはどんなときですか?
Aさん
志賀高原などに友達とスキーに行くときですね。もちろん、スタッドレスタイヤは履いていますが、結構な積雪でもほぼ滑りません。おそらくうちの四輪駆動の車より滑らないんじゃないかな。
四駆の車よりスリップしにくいってすごいですね。
Aさん
タイヤが滑るとセンサーが検知し、0.001秒の速さでモーターの出力にフィードバックされるそうです。あと、バッテリーを車体の下に搭載していて、中心が重いことも安定感につながっているようですね。
ということは、雪道の運転はもうバッチリ?
Aさん
福島県の会津地方には日本に2つしかない天然の二酸化炭素が湧いている金山温泉があるんですが、雪が降りしきるなか車で行って雪見風呂を楽しんだこともあります。
なんと、羨ましい!
Aさん
大晦日に帰省するときに、わざわざ下道で新潟や長野を回って帰ったこともあります。越後湯沢、十日町、菅平高原、佐久平、野辺山高原と雪の多い場所ばかりを280kmぐらい走って戻りました。
あえて雪道に突っ込んでいくって……(笑)。
Aさん
雪道も安心だと冬の行動範囲が広がりますね。
それは電気自動車の大きな利点ですね。
停電時には“もう一つのリビング”に早変わり
Aさんが感じる電気自動車の魅力って、ほかにありますか。
Aさん
メンテナンスの手軽さは実感していますね。僕は1年に3万kmは走るので、ガソリン車なら結構な頻度でオイル交換をしなければなりませんが、電気自動車なら一切必要ない。
オイル交換は安くても1回3000円ぐらいかかりますよね。5000kmで交換したとすると、6回だから年間1万8000円。それがまるまる浮くわけですね。
Aさん
もちろん、先々、バッテリーの劣化は避けられないので、その費用は見積もっておく必要はありますけど。母が乗っている初代リーフは15万kmを超えてそろそろ限界だったのでバッテリー交換をしたんです。
バッテリー交換ってかなりの出費になると聞きますが、いくらかかりましたか?
Aさん
新品バッテリーで工賃込み65万円でした。
新品じゃないバッテリーもある?
Aさん
リサイクルのバッテリーもあって、それなら30万円で済むはずですよ。再生バッテリーの場合、容量は新品ほど上がらないのですが、次に車を買い換えるまでのつなぎならいいと思います。
さすがに詳しいですね。ところで、電気自動車はエンジンを切ってもエアコンをつけられるので車中泊も快適と聞きますが、ご経験はありますか?
Aさん
ありますよ。旅行するときは掛け布団と枕を載せておいて助手席で寝ることもあります。
準備万端ですね。やはり快適ですか?
Aさん
フル充電で10時間ぐらいはエアコンをかけたまま過ごせるので快適ですね。旅行だけでなく、真夏に停電して暑くて家にいられないとき、もう一つのリビングとして使えるかなと思っています。
緊急避難場所ということですね。
Aさん
停電時もスマホへの充電ができますし。
停電中に電気が確保できるのは安心ですよね。
Aさん
あと、豪雨で道路が冠水したとき、ガソリン車はエンジンルームに水が入ってすぐに止まってしまいますが、電気自動車は多少水を被っても走行できる。災害に強いというのも電気自動車を選んでよかったと思うポイントです。
冠水路走行は避けたいところですが、万が一のときは心強いですね(※)。
※日産リーフの冠水路試験では水深80cmまでテストされています。詳しくは以下のページをご覧ください。
電気自動車の事故や水没、感電するの?
そうした点も含めて改めて伺いますが、電気自動車を買ってよかったですか?
Aさん
もちろん、よかったです。今のリーフは長く乗りたいと思って一番上のグレードを買ったので、しばらく乗り続けたいですね。
ZESP2の契約期間が終わってからも?
Aさん
契約期間はあと2年残っていますが、その後はZESP3には入らず、充電設備のある実家に置くことも考えています。今の職場は都心なので、平日はもっぱら電車通勤。休日しか車に乗らないので。
その後はどうでしょう。もし次に乗り換えるならやっぱり電気自動車ですか?
Aさん
電気自動車しか考えられないですね。
やはりそうですか。
Aさん
実は今、わが家最後のガソリン車、ランドローバーの買い換えを検討していて。父が乗る車なのでランクを上げて、日産アリアかテスラにしようかと話しているところなんです。
買い換えたらご家族全員が電気自動車のユーザーに!リーフとはまた違う乗り心地が楽しめそうですね。
8割以上の方が、次もEV(純電気自動車)に乗りたいと回答!
Q.現在、純電気自動車に乗っている493人に聞きました。
次に買い換えるならどんな車にしたいですか?
まとめ
車が生活の足として活躍する地域では1人1台の所有が当たり前。その車をすべて電気自動車にすると、家計への負担がグンと減ることが実感できました。雪道に強いという点も電気自動車の大きなメリット。冬も積雪を気にせずにどこにでも行けるのは羨ましい限りです。