EVユーザーインタビュー

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ある暮らし

【ユーザーインタビュー】電気自動車のある暮らし vol.7

EV歴10年!「メカに詳しくなくても乗れます」女性オーナーが語る魅力

外回りの仕事に車を使う女性リーフユーザーさん登場。バッテリー交換をして乗り続ける電気自動車の魅力をご紹介!

電気自動車はコアなマニアが乗る車。そう思っている人はまだ多いはず。そこでご登場いただいたのは、前回(vol.6)インタビューをしたAさんの母、Fさん。息子であるAさんに薦められて乗った電気自動車に魅了され、乗車歴はすでに10年に。女性ユーザーならではの目線も交えて、電気自動車の魅力を聞かせていただきました。

聞き手:上島寿子
撮影:杉田賢治

空冷式VWビートルから
初代日産リーフに乗り換え

はじめまして。前回は息子さんにはお世話になりました。

  • Fさん

    いえいえ。何度も山梨まで来ていただいて…。

息子さんによれば、ご家族で日産リーフを3台ももっているそうですね。

  • Fさん

    そうなんです。リーフは、私、娘、息子がそれぞれ乗っています。夫だけは、わが家で唯一のガソリン車、ランドローバーのディスカバリーを通勤に使っています。

Fさんが乗っているのは24kWhの初代日産リーフですよね?

  • Fさん

    はい、日産リーフが発売されて間もなく買いました。

ということは、買ってから何年?

  • Fさん

    10年は経ちますね。

当時の価格はいくらぐらいでしたか?

  • Fさん

    80万円ほど補助金が出たので、支払ったのは300万円ぐらいだったと思います。

写真:富士山を背景に停められた3台のリーフ
一家が所有する3台の日産リーフ。左から、Fさんが乗る初代リーフ、娘さんが乗る初代後期の30Whリーフ、息子のAさんが乗る40kWhのリーフ(撮影・Aさん)。

購入に至るまでの経緯を改めて教えていただけますか。

  • Fさん

    リーフを買うきっかけは息子の薦めですね。東京モーターショーで展示されているリーフを見たらしく、「乗ってみないか」と言ってきたんです。

前回の取材のときも「これが未来の車か」とひと目惚れしたとおっしゃっていました。それまではどんな車に乗っていたのですか?

  • Fさん

    うちは夫が車好きで、乗ってきた車はシトロエン、アルファロメオなど外国車ばかり。当時、私が使っていたのは、空冷式のフォルクスワーゲン・ビートル。1972年製を中古で買いました。

まさにカブト虫みたいなクラシックなタイプですね。車体の色は?

  • Fさん

    黄土色というか、濃い黄色というか。

なかなか個性的ですね。

  • Fさん

    このあたりでは珍しかったと思います。お子さんから「かわいい」と人気があって、「黄色いビートルを見ると幸せになるんだよ」と教えてもらったこともあります。

マニュアル車ですよね?

  • Fさん

    はい、ギアチェンジを自分でするタイプですね。

運転が難しそうですが。

  • Fさん

    マニュアル車の運転には抵抗はなかったですね。むしろ自分の意志が伝わるというか一体になれる感じがあって、運転していても楽しかったです。

知り合いが空冷式のビートルに乗っていたんですが、エアコンがなくて夏はものすごく暑かった記憶が(笑)。

  • Fさん

    そう、エアコンがないんです。夏は小さい三角の窓を開け、クーラーボックスに冷たいタオルを入れて暑さを凌いでいました。

どのくらい乗っていたのですか?

  • Fさん

    10年ぐらいは乗っていたかしら。

その愛車を手放してなぜリーフに?

  • Fさん

    一番の理由は故障が多くなったことですね。空冷式のビートルは構造が単純で、エンストしたときもエンジンの押しがけができるんですね。その場に居合わせた人たちに後ろから押してもらって、エンジンキーを回すとなんとか動く。でも、だんだん故障の頻度が増えて、しかも、昔のように押してくれる人もいなくなって(笑)。

エンジンを押しがけできる車自体、珍しいですよね。

  • Fさん

    車は仕事で使っているので、度々の故障に困ったなぁと思っていたんです。

車は通勤用ですか?

  • Fさん

    私は自治体からの委託で保健師の仕事をしているんです。赤ちゃんが生まれたご家庭を訪問して発育状況を確認したり、高齢者のところに行って健康相談にのったり。外回りの仕事なので、車がないと困るんです。

そろそろ乗り換えかなと思ったときに、息子さんから薦められたのがリーフだったわけですね。

  • Fさん

    電気自動車に乗るなんて、考えてもいなかったんですけれど。

それまでの車とは、ある意味、真逆ですよね。ためらいはなかったですか?

  • Fさん

    当時、日産ではリーフの試乗車を貸してくれるサービスを行っていたんです。それで、まずは借りて乗ってみました。

初めての電気自動車、乗り心地はいかがでしたか?

  • Fさん

    ビートルに比べたら、なにもかも違うじゃないですか。エンジン音がなくて静かだし、ガタガタ揺れないし、加速もいい。とにかく快適でしたね。

よし、これは買おう!と?

  • Fさん

    わが家の場合、車の決定権は夫にあるんですよ。夫が首を縦に振らないと買えない。だから、そのときに夫も試乗をしました。

選ぶ目は一段と厳しそうですね。反応はどうでしたか?

  • Fさん

    乗り心地はもちろん、デザインが気に入ったそうです。初代リーフのデザインって今のリーフとはだいぶ違って、夫に言わせると車らしさがあってすごくいいと。

ご主人のお眼鏡にも叶って、購入に踏み切ったんですね。

  • Fさん

    たまたまビートルを譲って欲しいという若者がいて、安心して乗り換えられました。その人は今も大事に乗ってくれているんですよ。

それは嬉しいですね。

写真:白い初代リーフに乗るFさん
初代リーフは流線形のなめらかなフォルムが特徴。車好きのご主人も納得のデザインだとか。

ガソリン車と比べて維持費が激減

10年間、リーフに乗り続けているとのことですが、どのような点が気に入っていますか?

  • Fさん

    一言で言えば、ストレスフリーなところですね。

ストレスフリーとは具体的に言うと?

  • Fさん

    先ほども話したように、音が静かで振動も少なく、加速性もいいし、故障もしない。外回りの仕事で使うにはとても快適です。

そのポイントは大きいですね。

  • Fさん

    年配の方を乗せる機会が多いのですが、みなさんから乗り心地がいいと言われますね。電気自動車に限りませんが、シートが温かくなるのも喜ばれます。冬の山梨は氷点下になるほど寒さが厳しいので。

写真:住宅街の細い道を運転するFさん
住宅地の細い道もなめらかに走行。「運転しやすいですよ」とFさん。

仕事で長距離を乗ることもありますか?

  • Fさん

    自宅から近隣の市をぐるぐる回る感じなので一度に長距離を走ることはないです。ただ、毎日、それなりの距離は乗るのでので、ストレスがないのは本当にありがたいです。

ほかに感じているメリットはありますか?

  • Fさん

    ガソリン代がかからないことですね。ビートルはハイオクを入れていたのですが、1ヵ月に8000円から1万円ぐらいかかっていたんです。当時はガソリンの価格が現在より多少安かったので。

今ならもう少しかかっているかもしれないですね。

  • Fさん

    それに、ガソリン車のようにオイル交換の必要がなく、故障しないので修理代も発生しない。メンテナンスは定期点検だけ済んでいます。

ガソリン代に加えて修理代も…。結構な出費ですね。

  • Fさん

    前の車のときは家計的にはかなり大変でした(笑)。

充電はどこですることが多いですか?

  • Fさん

    リーフを買ったときに自宅に充電設備をつけたので、家で充電しています。

日産のディーラーや商業施設で充電することは?

  • Fさん

    ほぼ利用しないですね。仕事で回る場所のどこに充電スポットがあるかは把握していますけれど。

充電の頻度はどのくらいですか?

  • Fさん

    3日に1回ぐらいです。今は娘のリーフのほかに、リモートワーク中で東京から帰省している息子のリーフがあるので、3台を順番に充電していく感じです。

写真:自宅前でリーフの充電ポートに充電用コネクタを差し込むFさん
自宅前の駐車スペースには車4台を置くことが可能。割安な夜間電力を使って充電をしている。左に停まるのが息子さんのリーフ、右奥は娘さん愛用のリーフ。
写真:充電ポートと充電コネクタのアップ
車体の前にある充電ポートにコネクタを差し込むだけで充電開始。女性でも扱いやすい。

ご自宅をリフォームするときにオール電化にしてエコキュートを設置したと息子さんから伺いました。だから、3台分を充電しても電気代は月額2000〜3000円ぐらいとのことでしたが。

  • Fさん

    充電にかかる費用はおそらくそのぐらいですね。

単純計算すると1台分1000円程度。ガソリン代と比較すると負担感はかなり違いますね。

走行距離15万km超えでバッテリー劣化&交換を経験

充電の仕方で気をつけていることはありますか?

  • Fさん

    残りが30%を切らないようにしています。出かけるときはどのくらいあるかをチェックし、行き先までの距離を考えて「このぐらいなら往復できるかな」と計算しています。これはガソリン車のときにはなかった習慣ですね。

計画的に充電しているんですね。

  • Fさん

    バッテリーを劣化させないことにもなるらしく、息子から厳しく言われているんです(笑)。

確かに、息子さんは車のことにすごく詳しかったです。

  • Fさん

    逆に私はメカにうとくて。それでも電気自動車に乗れるということは多くの方に伝えたいですね。

写真:助手席ダッシュボードにはられた注意書き「バッテリーの劣化を防ぐため下記のことをお守りください/5秒数えて概ね20km/hに達する程度のアクセルで加速すること/車間距離は多めに取り、ブレーキは優しく踏むこと/計画的な充電を行うこと/日産自動車株式会社」
助手席前に張られたバッテリー劣化を防ぐための注意書き。息子さんが張ったそう
メーターパネルで充電量を確認しながら走行。出力や回生ブレーキ(※)による電気の回収量などもわかりやすい。

※回生ブレーキとは、車を減速させるときに生まれる運動エネルギーを電気として取り戻せる電気自動車やハイブリッドカー特有のシステム。アクセルを離したりブレーキを踏んだりするだけで、自動的にバッテリーに蓄電されます。

初代リーフはバッテリー容量が24kWhなので、息子さんが乗っている40kWhよりも航続距離が短いですよね。その不便さはありますか?

  • Fさん

    仕事で乗る分には問題ないですね。ただ、10年乗って走行距離が15万kmを超え、充電してもあまり入らなくなってきて……。

バッテリーが老朽化した?

  • Fさん

    フル充電でも70%ぐらいしか入らなくなり、そこからさらにどんどん減ってきて。そうすると、すぐに30%を割りそうになって、充電の回数も増えてしまっていたんです。

それは不安ですね。

  • Fさん

    なので、今年、ディーラーでバッテリー交換をしました。

費用はいくらでしたか?

  • Fさん

    新品のバッテリーに変えたので65万円ほどかかりました。

それだけのお金を払うなら、新車を買ってしまおうという気持ちにはなりませんでしたか?

  • Fさん

    それはないですね。もともとうちは、車を買ったらその車に長く乗ろうというスタンスなんです。

ビートルも10年乗ったとおっしゃっていましたよね。

  • Fさん

    特にリーフの場合、初代のデザインをとても気に入っていたので、買い換えようとは思わなかったです。

バッテリー交換をしてからの乗り心地はいかがですか?

  • Fさん

    乗り心地自体は変わらないですけど(笑)、新しいバッテリーにして充電の心配をしなくて済むようになりました。

これからまだまだ乗り続けられそうですね。

乗り心地抜群!静かな走りで会話も音楽も楽しめる

リーフは仕事以外でも乗ることはありますか?

  • Fさん

    山梨は車がないと生活できないので、ホームセンターなど買い物にも使っています。小回りが利くので日常使いにも便利です。

写真:ホームセンター駐車場にリーフを止めて買い物に行くFさん
リーフは買い物の足としても活躍。食料品は生協の宅配を利用しているため、ホームセンターやショッピングセンターに行くときにもっぱら使っている

ドライブに行ったりとかは?

  • Fさん

    夫や子どもたちは県外まで出かけていますが、私は県内でちょっと足をのばすぐらいですね。

オススメスポットはありますか?

  • Fさん

    植物を見たり、山を眺めたりするのが好きなので、「健康の森」によく行きます。自宅から車で15分ぐらいなんですが、森林に包まれた高台にあるので街や山並みを一望できるんです。

行ってみたいです。ぜひご案内ください。

  • Fさん

    あと、このあたりは山が近いので、春は夫と一緒に山菜採りに行きますよ。

リーフで山道を走ることもあるんですね。

写真:林道を走らせるFさん
「健康の森」に向かう林道。上り坂でもエンジン音がしないので、会話が弾む。
写真:林道を走行するリーフ
カーブが続く山道もすいすいとなめらかに走行。
写真:「健康の森」見晴らし広場で景色を眺めるFさん
「健康の森」にあるみはらし広場からの眺めがFさんのお気に入り。休日にリフレッシュしに訪れる。
写真:「健康の森」展望台からの眺め
展望台からは甲府盆地と南アルプスが一望できる。夜景も素晴らしいとか。

リーフに乗ってご家族で出かけることはありますか?

  • Fさん

    休日は息子の運転でドライブすることが多いですね。近場の温泉に行ったり、息子が大好きだったおばあちゃんのお墓が山を越えたところにあるので、毎月、お墓参りを兼ねて出かけています。

家族仲がいいんですね。

  • Fさん

    自分で運転するより、助手席でぼんやり景色を眺めているほうが好きなんです。電気自動車は静かだから会話しやすいですし、音楽も楽しめます。といっても、子どもたちがかける音楽を一緒に聴いているだけですが(笑)。

改めて伺いますが、電気自動車にしてよかったですか?

  • Fさん

    よかったですね。乗り心地や維持費はもちろんですが、CO2を排出しないなど環境に優しいという点でも選択は間違っていなかったなと感じます。購入当時は、環境負荷に対する世間の関心が薄かったのですが、10年経ってかなり意識が変わってきていますよね。

じゃあ、もうガソリン車には戻れない?

  • Fさん

    最近、林道ドライブが流行っているじゃないですか。ちょっと険しい山道を四輪駆動のSUVでぐんぐん入っていく。私も走ってみたいなと思うことはあるのですが、でも、まぁ、ガソリン車に乗ることはないですね。

最近、電気自動車のSUVも出てきているので、次はそれとか?(笑)

写真:自宅の駐車場に車庫入れするFさん
自宅の周辺は細い道が多いが、コンパクトなリーフなら行き来しやすい。

ちなみに、リーフ以外に興味のある電気自動車はありますか。

  • Fさん

    夫はテスラに試乗をしたことがあるみたいで、走りがすごくいいと言っていました。最近、夫が乗っているディスカバリーの調子があまりよくないので、テスラか日産アリアに買い替えようかという話はちらっと出ていましたね。

息子さんからもそう伺いました。いよいよ4台目の電気自動車がやってくる?!

  • Fさん

    いえ、修理してもうしばらく乗ろうということになりました。ただ、近い将来、家の車がすべて電気自動車になる日は来るのかなと思っています。

楽しみですね。そのときは、またお話を聞かせてください。

まとめ

女性ユーザーに話を聞くのは初めてでしたが、「メカに詳しくなくても電気自動車に乗れますよ」という言葉に購入意欲がかきたてられました。電気自動車は誰でも気軽に乗れる身近な車。ガソリン代やメンテナンス代がかからず、毎日乗ってもストレスフリーというのはやはり大きな魅力ですね!

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