【ユーザーインタビュー】電気自動車のある暮らし vol.11
2台所有のオーナーが語る、電気自動車とガソリン車の楽しみ・乗り心地・コストの比較
アルファスパイダーのツインスパークエンジンで走る愉しみと、それに匹敵する圧倒的加速のEV。双方の魅力をご紹介!
電気自動車に乗りたいけれど、ガソリン車にしかないデザインや走り心地も捨てがたいーー。そんな人にとって理想といえるのが“2台持ち”のライフスタイルでしょう。埼玉県に暮らすSさんはこの暮らしを実現している一人。日産リーフを普段使いの車にしながら、「憧れの車だった」というアルファロメオを趣味の車として楽しんでいます。その暮らしぶりとともに、電気自動車とガソリン車の両方に乗っているからこそわかる、乗り心地やランニングコストの違いなども伺ってみました。
聞き手:上島寿子
撮影:杉田賢治、上島寿子
もくじ
実用と趣味で電気自動車とガソリン車を使い分け
こんにちは。今日はお時間をいただきありがとうございます。
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Sさん
家の場所はわかりましたか?
はい、車が2台停まっている家はほかになかったので(笑)。どちらも赤い車なんですね。
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Sさん
1台は日産リーフで、24 kWhバッテリー搭載の初期型です。もう1台はアルファ ロメオのスパイダー。“アルファスパイダー”とも呼ばれていて、私が乗るのは2代目の916型です。ナンバープレートもそれに合わせて……。
あ、本当だ。どちらも916なんですね!
タイプの異なる車ですが、どのように使い分けているのですか?
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Sさん
普段乗っているのはリーフです。アルファスパイダーはセカンドカーで、いわば趣味の車なんです。
乗車歴は何年ぐらいに?
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Sさん
アルファスパイダーは2009年に買ったので13年になりますね。日産リーフを買ったのは5年前かな。
車はずっと2台持ちですか?
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Sさん
いえいえ、結婚したばかりの頃は1台でしたよ。当時はフェアレディZに乗っていました。
国産スポーツカーの代表ですね。
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Sさん
1990年に買ったのですが、子どもが生まれて2年後に手放しました。2人乗りでチャイルドシートを取り付けられないので泣く泣く……。
ご家族のために買い替えたのですね。
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Sさん
代わりに買ったのがホンダのインスパイア。7年ほど乗って、その次にホンダのオデッセイに乗り換えました。
オデッセイといえばミニバンの走りですよね。
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Sさん
家族で乗るには快適でしたね。うちはスキーによく行っていたので、荷物をたくさん載せられるところが便利でした。7人乗りなので子どもの友達も乗せてあげられますし。
どのくらい乗っていたのですか。
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Sさん
16年です。
そんなに長く!
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Sさん
このオデッセイに乗っていたときに、子供の手も離れ生活に少し余裕も出来てきたのでセカンドカーとしてアルファスパイダーを買いました。
当初はオデッセイとアルファスパイダーの組み合わせだったのですね。日産リーフはオデッセイの後継車として買った?
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Sさん
いえ、その前にマツダのコンパクトカー、デミオに買い替えました。子どもが成長して夫婦2人で乗ることが多くなり、大きな車が必要なくなったこともあって。でも、2年ちょっとしか乗らなかったですね。
どうして?
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Sさん
マツダは乗用車をスポーツカーっぽくつくる傾向があって、デミオも運転するには楽しい車なんです。ただ、足回りの硬さから、助手席や後ろの席は乗り心地がよくないと言われまして。
ご家族には不評だったのですね。
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Sさん
デミオを手放して、前々から気になっていたリーフを購入しました。
そこから電気自動車とガソリン車のデュアル・カーライフが始まるわけですね。
デザインと走りに魅了されたアルファスパイダー
リーフの話は後ほど伺うとして、アルファスパイダーについて聞かせていただけますか。先ほど余裕ができたからとおっしゃっていましたが、前から興味があったのですか。
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Sさん
スポーツカーが好きというのはありますね。私が免許を取る頃にスーパーカーブームがあって、フェラーリやランボルギーニといった車に脚光が当たっていたんです。私も憧れてはいたものの、そういう車は高くて手が届かないじゃないですか。
家を買えるぐらいの値段ですもんね。
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Sさん
ただ、歴史を遡ると、フェラーリはもともとアルファ ロメオのレースチームにいたエンツォ・フェラーリが立ち上げたメーカー。つまり、源流は同じといえるんですね。
どちらもイタリア車ということは知っていましたが、つながりが深いんですね。
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Sさん
フェラーリを買うのは無理ですが、アルファ ロメオならなんとか手が届く。それで興味を持ち始めたんです。
なるほど。
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Sさん
実際、アルファ ロメオは排気量や馬力の点では国産の一般車と変わらないけれど、車体やエンジンのつくり方はレース仕様というのか、スポーツカーに近いんです。
アルファ ロメオにもいろいろなタイプがありますが、そのなかでもスパイダーがよかった?
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Sさん
アルファ ロメオって万人受けする車ではないですし、私もほかのアルファ ロメオにはさほど興味はなかったんです。ただ、スパイダーが出たときにひと目惚れしました。特に916はすごくかっこよかった。
ボディデザインに惚れ込んだわけですね。
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Sさん
デザインだけでなくエンジンもよかったんです。
なにが違うのでしょう。
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Sさん
アルファロメオの156シリーズはご存じですか?この車はフォードアなのにツードアのように見えるデザインと、1つの燃焼室に2本のプラグを装着したツインスパークエンジンで人気を博していたんです。
156は街中でもよく見かけますね。
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Sさん
ツインスパークエンジンって回せば回すほど楽しくて、エンジン音は「官能的」とまで言われている。916のアルファスパイダーはこのツインスパークエンジンを搭載しているんです。
なるほど、そのエンジンにも惹かれたのですね。
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Sさん
あと、アルファスパイダーがオープンカーだったことも大きいですね。私はもともとオープンカーが好きで、以前、乗っていたフェアレディZもオープンカーでしたから。
鮮やかなボディカラーも目を引きますが、最初から赤に決めていた?
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Sさん
私は赤が好きなので、買うなら赤と思っていましたね。
購入したのは新車ですか?
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Sさん
いえいえ、新車は予算オーバーでした。1999年に発売されたモデルが9年たって手の届く値段に落ちてきたので購入に踏み切れたんです。
買うなら今だと?
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Sさん
ただ、迷いはありましたね。アルファ ロメオは「世界で2番目に壊れる車」と言われていて、買った後のメンテナンスに不安がありました。
壊れやすいイメージはありますよね。
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Sさん
中古市場には同程度の値段でBMWのオープンカーも出回っていましたし、マツダのロードスターならもう少し新しい年式を買うことができる。いろいろ見ていたんですが、やはり乗るなら好きな車にしようと。
当時、オデッセイを持っていたというお話でしたが、もう1台、車を買うことは奥さまにも相談していたんですか?
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Sさん
うーん、どうだったかな。
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奥さま
「車庫証明を取ってきて」と言われたんです。「えっ、なんのこと?」と意味がわからなくて。勝手に買ってきちゃったんです(笑)。
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Sさん
確かに事後報告だったね(笑)。
それから13年。アルファスパイダーは趣味の車とのことですが、どういうときに乗るのでしょうか。
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Sさん
この車で走りたいと思っていた場所はいくつかあって、北海道はその1つ。フェリーで行ってきました。
開放的な風景に赤いボディが映えそうですね。
ほかにはどこへ?
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Sさん
千葉の九十九里とか、今年のゴールデンウイークには福島の会津若松にも行きました。
ドライブは奥さまとお二人でいらっしゃるのですか?
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奥さま
いつも二人です。軽井沢もよく行きますよ。アルファスパイダーは写真映えするって喜んでいます(笑)。
乗り心地はいかがですか。
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Sさん
最高ですね。特に屋根をオープンにして走っていると本当に気持ちがいい。幌は自動で開閉できるのですが、それもよかったですね。手動式だったフェアレディZに比べると、開けて走ることが断然多くなりました。
走りもやはり違いますか?
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Sさん
エンジンの違いは感じますね。加速のときにグワーッと伸びる感覚があって、それが気持ちいいんです。
乗っていらっしゃるのはマニュアル車ですよね。ギアチェンジが面倒になることは?
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Sさん
むしろ運転の楽しさを味わえますね。自分が車を操っているという感覚があるんです。もし買い換えることがあっても、セカンドカーにはマニュアル車を選ぶと思います。
先ほどメンテナンスが不安だったとおっしゃっていましが、その点はいかがですか。
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Sさん
買ったときに「もし次から次へと壊れるなら2年で買い替えよう」と決めていたのですが、思っていたほど故障はないですね。もちろん、ちょこちょこと修理は必要で、例えば、幌は2つのモーターで開閉するのですが、買って間もなく壊れてしまい、すぐに直してもらいました。
買い替えようと思うほど大きなダメージはないのですね。
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Sさん
セカンドカーなので、13年間で走行距離は5万kmちょっと。だから故障が少ないのかもしれませんが。
満足感はやはり高いですか。
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Sさん
アルファ ロメオって特別な車じゃないですか。だから、修理工場に持って行ったときに同じ車に乗っている人がいると仲良くなれるんですね。
仲間がつくりやすいんですね。
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Sさん
買ってすぐにアルファスパイダーのオーナーズクラブにも入って、いろいろな集まりにも顔を出して情報交換をしています。このエンブレムも参加したときにつけている若い女性オーナーがいて、真似してつくってみたのですが……。
わぁ、かわいい!手づくりなんですね。
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Sさん
ドリングホルダーやシートベルトもカスタマイズしています。ほかにもアルファロメオにあわせて赤いグローブや時計を買ったり、ドライビングシューズを新調したり。そういう楽しみも増えましたね。
ただ乗るだけでなく、ライフスタイルにも影響があるんですね。楽しそう!
日産リーフは経済性と乗り心地のよさでも大満足
アルファスパイダーに対して、日産リーフはまた方向性が異なりますよね。エンジン音を楽しむことはできないですし。そもそもなぜ電気自動車に興味をもったのでしょうか。
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Sさん
基本的に走るものはなんでも好きなんですが、そのなかでも電気自動車は環境に優しいという点ですね。
環境問題に関心を持っていた?
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Sさん
「宇宙船地球号」という言葉をご存じですか。人類が暮らす地球は宇宙船と同じで、資源には限りがあるから使い方を考えて大切にしなければいけないということを伝えているのですが、私はこの言葉を中学生の頃に知りました。
環境学や経済学でよく使われる概念ですよね。
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Sさん
同じ頃、アメリカではアポロ計画が行われ、有人宇宙船の月面着陸成功に湧いていました。その飛行士の一人は月から見た美しい地球に神の存在を感じ、帰還後、牧師になってしまった。その人の本を読んで、「美しい地球を守っていかなくてはいけない」と痛感していたんです。
自分たち一人ひとりの心がけにあると?
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Sさん
そういう意識は常に持っていますね。物を大事にしたり、ゴミの出し方にも気をつけたり。
その意識から電気自動車にも関心を寄せていたんですね。
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Sさん
特に車は切実ですよね。ガソリンはあと50年も経つと底を尽きると言われていますし。だからエコカーには興味があって、トヨタがプリウスを出した時はすぐに試乗しました。実はリーフも発売間もないタイミングで試乗しているんです。
そのときの感想は?
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Sさん
運転歴40年のなかで、ハンドルを握ってびっくりした車が2台あるんです。その1台は日産が出した日本初ターボ車。そしてもう1台が試乗したときのリーフでした。
どんなところに驚かれたのでしょう。
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Sさん
どちらの車も加速の感覚に驚きました。ターボ車はターボが効き始めてからの加速に、リーフはアクセルを踏んだ瞬間からのエンジン車にはない圧倒的な加速が魅力的でしたね
ターボエンジンに引けを取らないということですね。
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Sさん
それだけ加速性に優れながらも、電気なので排気ガスはゼロ。地球を汚さなくて済むところにも惹かれました。
その前に試乗したプリウスとは印象が違いましたか?
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Sさん
ハイブリッドのプリウスは、モーターとエンジンの切り替えにギクシャクする感じがありましたね。ブレーキも油圧できいたり、回生ブレーキだったりとばらつきがあるし。その違和感によって、運転を面白いとは感じなかったんです。
その点、リーフは運転を楽しむことができたのですね。
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Sさん
はい。すごく欲しかったのですが、当時は電気自動車の販売が始まったばかりで買うのには勇気がいりましたね。値段が高かったこともありますが、充電設備がまだ少なく不安も多かったので。しかも、発売の翌年に東日本大震災が起きて計画停電があり、電気で走る車への興味が萎えてしまったんです。
それから数年後に再び、関心を持った理由は?
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Sさん
充電設備の整備が進んできましたし、旧型リーフが安くなっていたのも理由ですね。冒険だけど乗ってみていいかなと思えるようになったんです。
そろそろ買い時と思ったんですね。
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Sさん
購入時に四大特典がついていたのも魅力でしたね。その1つがZESP2(※)への加入で、毎月2000円の会費を払えば日産のディーラーとNCS(日本充電サービス)が提供する急速充電を無料で使える。これはとてもありがたいです。
※ZESP2は2019年12月に新規受付を終了。すでに加入している場合は、満期日(入会日から5年間)まで利用ができます。
充電し放題というのは大きな魅力ですよね。
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Sさん
家の近くの公民館に急速充電器があるのですが、充電している人を見たことがなかった。「もったいないなぁ。リーフを買ったら俺が充電するのになぁ」とずっと思っていたんです。
ほかにはどんな特典がありましたか?
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Sさん
自宅に充電器を設置する場合、10万円まで補助が受けられるのでほぼ無料で設置できました。あとは、6ヵ月ごとの定期点検が無料になるメンテプロパックとドライブレコーダーがついていました。
それはお得ですね。
リーフはメインカーとして買われたとのことですが、どのように使っていますか。
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Sさん
普段の買い物はリーフで行きますね。宇都宮にある妻の実家に行く時もリーフですね。高齢の母が一人暮らししているので、毎月2〜3回ほど通っているんです。
ドライブで遠出もしますか?
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Sさん
横浜、湘南、あと、軽井沢もリーフで行くことはよくあります。お気に入りのジャム屋さんがあって、そろそろなくなりそうだから買いに行こうとか。年間の走行距離で比較すると、アルファスパイダーはせいぜい3000kmなのに対して、リーフの場合、1万4000㎞は走っています。
リーフの出番が多いのですね。
先ほどアルファスパイダーは官能的なエンジン音が魅力とおっしゃっていましたが、電気自動車に物足りなさはないですか。
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Sさん
それはまったくないですね。エンジンをいじったり、マフラーを替えて音を大きくしたりというマニアックな人はモーターで走ること自体、面白くないとは思いますが、私はそういう趣味はないですし。むしろエンジン音がうるさいのは好きではないですね。
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奥さま
本当、静かよね。私はペーパードライバーなので助手席に乗るだけですが、今までの車の中で乗り心地は一番だと思いますね。
しかも、静かでありながら運転の楽しさを味わえる?
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Sさん
加速性など走ることだけで言えば、エンジンがモーターに勝てる要素はないと思うほどです。
そんなに!
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Sさん
乗り心地がいいから、ドライブをしていても楽しいですね。7月には富士山の五合目まで行ってきました。ハイシーズンになると富士スバルラインは一般車両の通行を規制するのですが、電気自動車は確認書を取れば通行を許可されるんです。
EVユーザーの特権ですね。
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Sさん
ハイシーズンの天気のいい日に走ってみたかったんです。ガラ空きの富士スバルラインをEVパワーでぐいぐい上っていくのは爽快でしたね。
電気自動車とガソリン車のメリット・デメリット
逆にデメリットに感じていることはありますか?
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Sさん
充電に時間がかかることかな。うちのリーフはバッテリーが小さいので充電をマメにしないといけない。
頻繁に訪れていらっしゃる軽井沢の場合、充電回数はどのくらいになりますか?
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Sさん
満充電で出発し、途中で2回は充電しますね。
そのうち1回は高速道路で?
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Sさん
いえ、うちの最寄りのインターから軽井沢までの区間には充電設備が1ヵ所しかなくて、大抵、混んでいるんです。待ち時間がもったいないので、充電のためにあえて下道を走ることが多いですね。
その場合、どこで充電をしますか。
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Sさん
道の駅の充電設備を使ったり、日産ディーラーに寄ったり。特にディーラーの充電設備は出力が強いので頼りになります。日産のアプリ「NissanConnect EV」で調べると使用中かどうかわかるから便利ですよ。
日産のアプリ以外によく使うアプリやサイトはありますか?
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Sさん
EVsmartも活用していますよ。
わぁ、ありがとうございます!
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Sさん
口コミの情報が便利ですね。日産のアプリに出ていた充電施設に行ったら故障中だったということが何回かあって。その点、EVsmartは故障して使えないというユーザーからの情報が常時更新されているので助かっています。
お役に立っていてよかったです。
ちなみに、軽井沢に行ったときは帰り道でも充電をしますか?
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Sさん
帰路は下り坂になるので、回生ブレーキ(※)が働いて蓄電が進むんです。なので、充電はどこかで1回する感じですね。7月に富士山の五合目まで上ったときは、85%だった充電が23%まで減りましたが、帰りの下り坂で42%まで回復しました。
※回生ブレーキとは、車を減速させるときに生まれる運動エネルギーを電気として取り戻せる電気自動車やハイブリッドカー特有のシステム。アクセルを離したりブレーキを踏んだりするだけで、自動的にバッテリーに蓄電されます。
回生ブレーキは電気自動車ならではの持ち味ですよね。でも、リーフに乗るときは、そうやって充電を気にしながら走らないとならないわけですね。
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Sさん
充電に30分はかかりますしね。
充電中はどう過ごしていますか。
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Sさん
ディーラーで充電していると「中へどうぞ」と声をかけてもらえてお茶までご馳走になることもありましたが、コロナ禍になってからは遠慮して車内で待つことが多いですね。
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奥さま
車内でテレビを観たりしてね。
休憩も兼ねる感じですね。
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Sさん
もちろん、その分、時間はかかるので、「あそこは遠いからアルファ ロメオで行こうか」ということもあります。アルファスパイダーのガソリンタンクは70ℓ入りますし、高速道路なら11km/ℓと燃費も悪くない。満タンにすれば600kmは楽々走れます。会津若松に行ったときは、途中で給油せずに余裕で現地に到着できました。
長距離にはやはりガソリン車が向くのですね。
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Sさん
現行のリーフならバッテリーが大きいので、長距離走行も快適にできるとは思いますけど。
60kWhバッテリーなら満充電で450kmは走れるそうですよね。
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Sさん
一方、コストを考えると、断然、リーフに軍配が上がりますね。今はガソリン代が上がっていますし、アルファスパイダーはハイオク車なので、50ℓ入れたとすると1万円近くかかってしまう。
その点、リーフならほぼ無料というわけですね。
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Sさん
給油に行ったときに「電気自動車ならタダなのに、なんで高いお金を払ってガソリンを入れているんだろう」と思うことはありますね。
ご自宅に充電設備を設置されていますが、電気代への影響はありますか?
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Sさん
無料の充電設備を利用することが多いので、家で満充電にするのは月に2〜3回ぐらい。その充電で電気代が上がったと感じたことはないですね。
充電し放題の恩恵を受けているわけですね。
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Sさん
ただ、ZESP2の有効期限が今年8月までなので、それ以降は家での充電が増えると思いますね。とはいえ、乗っても1ヵ月に1000km程度なので、充電にかかる費用はガソリン代の半分ぐらいで済むかなと思っています。
※後日、9月からの充電方法と電気料金への影響を伺ってみました。走行距離は月1000km程度のため、ZESP3の一番リーズナブルな「プレミア10(3年定期契約で月額2750円)」に加入。プラン内の定額で利用できる急速充電は10分10回までと上限があるものの普通充電は無制限のため、こちらを上手に利用しているそう。これにより家庭の電気料金への影響はほとんどないとのことでした。
メンテンスにかかる費用はいかがでしょう。やはりアルファスパイダーはお金がかかりますか?
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Sさん
うちのアルファスパイダーは優秀で故障は少ないほうだと思いますが、それでも国産車の倍はかかっていますね。窓が開かなくなって直すのに6万円とか。ざっくり考えると、3〜4万円の修理が年1〜2回はあるという感じです。
対して、電気自動車はほとんどお金がかからないと聞きますが。
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Sさん
これまでの支出はウィンドウォッシャー液を入れたのと、タイヤ交換ぐらいですね。電気自動車だからオイル交換は必要ないですし、回生ブレーキを使うのでブレーキパッドもまったくと言っていいほど減りません。気になるのはバッテリーの寿命ですが、まだしばらくはこのまま乗れるでしょう。
メンテンス費用でもやはり電気自動車に強みがあるんですね。
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Sさん
税金面でもお得ですよ。自動車税は1000ccの車と同じですし、車検のときにかかる重量税は2回目まで優遇されますし。
コスト面では断然、電気自動車なんですね。
リーフの買い替えは電気自動車の一択
アルファスパイダーとリーフにはそれぞれ一長一短があるとのお話でしたが、今後のことはもう考えていますか?
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Sさん
アルファスパイダーはそのまま持ち続けるつもりです。とても気に入っていますし、ほかに代わる車はないと思っているので。
リーフはどうでしょう?
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Sさん
バッテリーの容量がもっと大きい車が欲しいですね。実は62kWhバッテリーの新型リーフを契約しているんです。
そうでしたか。
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Sさん
ただ、ご承知の通り、半導体不足などから納車が遅れていて、早くて来年の2月になりそうです。
リーフに決めるまでには、ほかの車も検討しましたか?
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Sさん
いろいろ見ましたよ。
ガソリン車も含めて?
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Sさん
いいえ、電気自動車ばかりです。一度乗ると、走行性や乗り心地などから電気自動車を中心に考えてしまいますね。
具体的にどんな車を見ましたか?
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Sさん
例えば、プジョーのe-2008。SUVタイプだからスキーに行くときにいいなと思ったけれど、500万円を超えてしまう。
予算的に厳しかった。
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Sさん
大きさもネックになりましたね。BMW、ルノー、ヒュンデなど電気自動車を出しているメーカーは増えていますが、日本に入ってくるのはみんな大きいじゃないですか。テスラも車幅が185㎝あるし。そうすると、うちの駐車場はギリギリかなぁと。
狭い場所の車庫入れは、降りてアプリで動かすという方法もありますよね。
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Sさん
それも一つの手ですが、私の場合はそこまでしなくてもいいかなと思っているんです。だから、EVのチンクエチェントがイタリアで発売されたときは、ものすごく興味をかき立てられました。
フィアット500eですね。
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Sさん
42kWhバッテリーだから長距離も走れそうですよね。イタリアでは助手席側のドアが観音開きのタイプが発売されているのですが、日本では通常のツードアだけ。観音開きが買えるなら本気で考えたかもしれません。
コンパクトという点では日産サクラはどうですか?
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Sさん
軽自動車は乗り心地が心配ですね。宇都宮に通うのもつらいかなと。
そう考えると選択肢はリーフしかない?
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Sさん
ですね。最近の電気自動車は売り方もネットなど販売店を持たないケースが増えていますが、やはりディーラーの実店舗があるほうが安心感は高いですから。
駆け込める先があるのは心強いですよね。
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Sさん
今のリーフを買ったとき、将来的にはもっと国産車でも電気自動車の選択肢が増えているだろうと思っていたのですが、日本は遅れていますよね。
まだまだこれから……という感じですよね。契約したリーフはやはり赤ですか?
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Sさん
いいえ、今度は白にしました。現行のデザインに合うのは白かなと思ったのと、バッテリーの負荷を減らせるかなと思ったので。
バッテリーの負荷?
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Sさん
昨今の電気自動車でバッテリーの冷却システムを搭載していないのはリーフぐらい。白なら周囲からの熱の吸収を少しでも減らせるかなと思ったんです。そこまで考えるなんて、笑われるかもしれませんけど。
ボディカラーとバッテリーの関係まで考えたことはなかったです。
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Sさん
もちろん、乗り方にもよるので、冷却システムのないリーフをどれだけもたせられるか、チャレンジしようと思っています。自分の計算では10年で30%も低下しない気がするのですが。
いろいろ考えていらっしゃるのですね。いずれにしろ、電気自動車とガソリン車のデュアル・カーライフは続くということですよね。
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Sさん
新車が納品されたらバッテリーが傷まないよう工夫して、長く付き合っていきたいですね。
白のリーフとアルファスパイダーとのツーショットもぜひ拝見したいです。
あとがき
スポーティな車の走り心地を好む人にとって電気自動車は物足りないのでは?と思っていましたが、Sさんの答えは「NO」。スムーズな加速や静かな乗り心地にとても満足されている様子が印象的でした。世の中が電気自動車にシフトしていくなか、普段乗りには電気自動車、ガソリン車は趣味の車という乗り分けをする人はこれから増えるかもしれません。